第九章 高性能サプリメントが生み出す世界
 スポーツアスリート、それも一流と呼ばれる人になるほど専属整体師・専属スポーツトレーナーを雇い、日々自分の肉体と精神を鍛錬している。また有効なサプリメントを活用している人も多い。あまりに効果の強いものは、競技の公正ささえ脅かしてしまうので、国際競技ではドーピング検査が行われる程だが、自動車の外部添加剤の話になった途端、一部の人は「プラシーボ効果の疑わしい品物」とレッテルを貼って毛嫌いする。確かに過去の製品の中には、自動車好きなら人に勧めたくない製品も数多く含まれていたのも確かだが・・・やがては衰退し、そして消えていった。
しかし、実際にはスポーツサプリメントの例でも理解出来る通り、確実な(ある意味驚異的とも言えるような)効果を期待できるものも添加剤の中には希少ではあるが存在している。その素晴らしい性能を一度でも経験することがあれば、きっと頑なに否定していた人さえも理解してくれる筈。私自身も16年前までは添加剤否定派の人とまったく同じ意見で「添加剤など効かない」と考えでいたのだから・・・
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9−1:効果の少ない物と効果的な物との落差は大きい

 機械産業発展に併せて潤滑油が登場し、性能向上に併せてその性能も進歩してきた。技術レベルが低かった当時は工作機械を酷使すれば、すぐに磨耗損傷等が理由で壊れてしまった。その対策の為に登場したのが固体潤滑剤の代表である二硫化モリブデンやPTFE(フッ素樹脂)や粘度指数向上剤などの外部添加剤である。
 戦後の自動車産業の発達は目覚しく、高度経済成長期を背景に、軍需で培ったテクノロジーが平和産業として著しい発展を遂げる。(実際に、大手自動車メーカーであるGM・BMW・ベンツをはじめ、国内でもスバル・プリンス(後に日産が吸収)などは軍需によって成長した企業である)また潤滑油自体の性能もメカニカル側のニーズに応え、平行して発展を遂げた。昭和30年代の外部添加剤は二硫化モリブデン、PTFE,粘度指数向上剤の三大成分でほぼ独占されていた。その後マーケットの拡大が進み、昭和60年に入ると各社から1ヶ月に1製品のペースで新しい製品がリリースされ、市場で認められなかった(効果がない。調子が悪くなるetc.)多くの粗悪製品は、製品名を変えながらフェードアウトしていった。まさに添加剤の戦国時代である。その後、それらの粗悪品によるネガティブイメージが、インターネットの普及とともに広まり、効果のあるなしに関わらず、「添加剤=悪い」というおかしな認識がいまだに残っているのが現状である。インターネットは管理者という名の下に、自分の掴んだ結果を公表できるメリットを持つ反面、その情報がどこまで信頼できるかを判断する必要性があるがその区分けは至難の技となる。先に述べたとおり、「安物買いの銭失い」的なサイトでは、効果の無い製品ばかりをテストして評価を下すという風潮が強いので注意が必要である。
1.価格の妥当性
需要と供給のバランスの基に、売れるものは高くても需要があり、売れないものは安くなければ需要がない。「価格=性能」の妥当性を市場が認めて、初めて購買層が生まれる。ゆえに高くても良い製品は生き残る。

2.メーカーの信頼性
継続して製品を供給しているメーカーなら、その企業の存在自体が信頼のバロメーターとなる。彗星のように現れ消えていく「供給責任」を持たないメーカーには危険も伴う。

3.ワランティー
添加剤メーカーに限定して話せば、極端な大手は存在しない。また、メーカーではなく輸入商社であるケースが多い。ゆえに、日本から海外の(製造)メーカーへ直接折衝することは難しいので、中間を受け持つ輸入商社のアフターサービス全般(保障含む)の体制を確認した方が安全である。国内メーカーであれば、余程の新参メーカーでない限り、あまりピーキーに考える必要はないだろう。

4.市場での評価
大規模店頭販売をしている商品だからと言って信用出来ない。仕入価格と販売価格の差が大きければ、性能に関係なく販売店舗は喜んで販売する。大きなレースにスポンサードしているのと効果は別であり、スポンサードする金額が重要である。とりあえず製品名を検索サイトで確認すれば、それなりの数のユーザーとその評価がわかる筈である。
 新車の場合、劣化損傷はしていないので添加剤の効果は解かりずらい。従って新車で使用した場合、効果の弱い(性能が低い)商品は使用した効果を何も感じられない。だがメーカー的には「どこも悪くないので内部的には保護作用として働いています」「長期間の使用では内部を保護しています」と答えるだろう。そう言われれば消費者は反論できるだけのDATAを示すことは難しい。「効果の解からない製品は性能が低い」というのが結論なのだが、それには効果の判る製品との比較が必要であり、それを知っていれば最初から効果のない製品は使用していないだろう。そんな具合に一度効果のない製品を使った人の多くは、この瞬間に他の添加剤を含む「全て」を否定する学習機能が働きインプットされる。
確かに新車は「どこも悪くはない」ので、高性能添加剤でも、実際に効果が体感できるまでに数千km〜1万kmを要する場合も多い。つまり新車の良い表面を更に向上させてゆく時間を必要とする。逆に初期性能から大きな変化がある場合、継続使用した際には問題が発生する場合がある。

オイル交換しても効果が継続出来る不思議
「一度添加すれば、コーティングが完了するので、その後オイル交換をしても効果は持続します」というキャッチコピーを見たことのある人は多いと思う。これでシリンダー&ピストンリングがいつまでも減りません、と言っているのと変わらない。実際はそんなに都合よくコーティングは保持されない。どんなに長くとも数十キロから数百キロ程度が限界だろう。つまり「一度入れたらオイル交換しても効果は落ちない」という意味は「成分が外部に排出されても効果は変わらない」ということになり、結局は「効果が少ない=効かない」ことを意味している。しかし購入する際に、この基本理論を知らなければ「費用対効果に優れる=安上がり」という心理が働き購入に踏み切る。一度信じ込んでしまえば体感で解らなくても「車に良いことをしている」「内部の保護に役立っている」という安心感が生まれる。真実はオイル交換して何も変化を感じられないのであれば宣伝ほど効果は無かったこということに気づかない。

B:初期性能と継続性能
初期性能の高い製品は高い評価を得られる。その理由は色々あるが、まず入れた直後に良い結果が出れば、誰でも嬉しいもので周囲の人間に話したくなる。興奮冷めやらぬという表現がピッタリだろう。そして、一度伝播された情報はそのまま「確信的な話」として伝播し続けるのである。その後、継続性能が低く短期間のうちに効果が無くなってしまったとしても最初の情報は伝播し続ける。また、雑誌テストなどもその性格上、テスト期間は短期間なので、添加直後で評価される場合がほとんどである。しかし本来の添加剤の意義を考えるのであれば、むしろ重要なのは継続性能である。一概に言えないが、多くの製品の場合、あまりに初期性能のみにウェイトを置いたために継続性能が損なわれる傾向と、初期性能を強くし過ぎたために、継続性能においてメカにダメージを与える恐れがある傾向が見られる。ゆえに継続性能の信頼性や安定性が損なわれるので、2回・3回と重複使用を続けるうちにその問題点が露呈するのである。しかしながら継続性能での問題はあまり伝播されず、また雑誌で取り上げられることもほとんどない。アナウンスされずに「使ったことのある人だけが判る悪さ」を生み出してしまうのである。そしてそれは同時に「車両自体への不満」となって買い替え需要を伸ばす結果となり、最終的な結末は語られないまま終わってしまうのである。継続性能と遅効性とはほぼ同じ意味合いで磨耗損傷して荒れた潤滑面(人間のお肌と思えば解かり易い)を綺麗にするのには多少の時間を必要とするのは自然なことである。このポイントを理解できていない人は即効性のみを重視して評価することになる。
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9−2:ダメージの蓄積を最小限に抑えることが重要

 普段生活している中で、何かのきっかけで、突然興味が抱いたり、疑念が生じたりする経験は誰しもある筈。自動車の故障もオイルが潤滑部分を完全に保護しきれなくことにより、次第にダメージが蓄積され(磨耗損傷が進行)寿命が尽きるという結論を他の項目で解説した。耐久性を高める(延長する)ためには摺動部分を高度な潤滑保護性能により、どこまで保護できるかがポイントとなる。どんなに悪いオイルでも、一般の人は自分の使用しているオイルが悪いとはなかなか解かりにくいし解っても認めたくない心理が働く。私も長年に渡って修理を経験してきているが、自分でオイル開発するまでは、市販オイルの中に粗悪なオイルが販売されていとなど一度として想像したこともなかった。
それは新しい添加剤を開発していた数十年前のことである。(ちなみに、その時点では有名大手メーカーの製品ならば安価な量販品であっても大丈夫と考えていた。)そのトラブルは東名高速道路を経由、テストコースである中央高速道路を走行し、八ヶ岳ICで降りようと料金所で停止したときの出来事である。料金を支払うために古いドイツ車(左ハンドル)の助手席パワーウインドを降下させると、ディーゼル車のような「ガラガラガラ」音が響いている。後ろにいつのまにかディーゼル車(しかもダンプカーレベル)が迫ってきていたのか?と思って振り向くが、後ろはおろか周囲に他の自動車はなかった。間違いなく自分の車のエンジン音なのである。料金所を出るとすぐ近くに土産店の大きな駐車場が見えたので、慌てて停車しボンネットを開けて確認すると今にも壊れそうな「ガチャガチャ」した大きなメカニカルノイズがタペット付近より発生していた。開発中の添加剤には絶対の自信を持っていただけに、その時の衝撃は今でも残っている。
後に、このトラブルで解かったことは、添加剤はあくまでオイルへの添加物であって、ベースとなるオイル性能があまりに低ければその効果もオイルの劣化で消滅することと、大手メーカー≠安心という事実であった。問い合わせの中に「安いオイルに添加するのと高いオイルに添加するのと、どちらが良いのですか?」という質問も多く受けるが答えは単純ではなく、あまりにも性能が低いオイルであれば私と同じ結果が待っている。つまり、どこかに限度ラインが必ず存在する。
粗悪商品が流通され続けた理由:
A:販売メーカーはオイルはこまめに交換するよう推奨している。
B:一般使用ではオイル性能が低くても短時間走行では致命的なトラブルに発展しない。
C:長期にわたる継続使用の結果、トラブルが発生してもオイル側の問題ではなく車両側の劣化として判断される。
D:C:において原因がオイルと判っても、トラブルとの因果関係が立証されにくい。
E:メーカーも、トラブルはあってもフィードバックがなければ問題として認識しない。
内部ダメージは長期間に渡って蓄積されたり、徐々に進行してゆくので、はっきりと判りにくい現象と言える。
ダメージの蓄積は下記に示すような具体的症状となって表れてくる。
A:メカニカルノイズ増大。
B:アイドリングのバラツキ。
C:振動や騒音増大。
D:レスポンス悪化。加速悪化。
E:燃費悪化。
F:出力低下。力不足。
G:白煙・黒煙。
H:オイル消費増大。
I:アクセルが重く感じる。ボディが重く感じる。
J:異音発生。
これらの症状は古くなれば発生する車両自体の経年劣化と従来の一般常識として認識されやすい。しかし「ダメージを最小限に抑える製品」を一度でも継続使用すると、「オイル潤滑性能で耐久性が決定される」という意味がより鮮明に理解出来てくる。結果的に上記症状が改善されたり、症状が現れにくいことが実感できるからである。
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9−3:想像を超えた世界は真実性に欠けて見えてしまう

オイル潤滑性能を上げてゆくと下記に示すような現象が次々と確認出来る。
A:レシプロエンジンが電気自動車のようなフィーリングに感じる。
B:走行距離が20万km程度までなら燃費、馬力などは年々、性能向上が認められる。
C:エンジンブレーキが効きにくくなるのが実感できる。
D:油温上昇が抑制されるのがメーターで確認できる。
E:現実的には速くなっているのに、体感スピードは落ちてしまう。
F:アクセルコントロールがリニアになる。
G:ターボ車のブースト圧が上昇する。

私の長年の経験や実績を解かっている人でも、実際に経験する(正確には「させる」)までは素直には信じてもらえない。だから初めて私の話を聞いた場合は疑念を抱いたとしても何の不思議もない。
ここからは、私の開発した製品を具体例として話をすすめるが、これを「広告」と思ったなら、製品を一度使った上で再度読み直して欲しい。全てを一度に理解出来なくとも、一部でも理解してもらうことが出来れば幸いである。

 添加剤にしても私が開発した製品は独特の性質を持っている。その最大の特徴が「滑りと伝達」という相反する要因をバランスよく両立することである。「そんなのあるわけがない」と半信半疑の人も見受ける。私も最初はそんな人と同じであった。でも他の人との決定的な違いは好奇心旺盛なので「本当かどうか試してみよう」と試すところにある。もちろん騙されることも多い性格であるが、時として素晴らしい発見をすることに結びつく。
 特殊成分の発揮する「トラクション作用」に秘密が隠されている。動力を伝達したり制動を掛けるようなメカニズム(具体的メカニズムはAT,CVT,LSD,MTシンクロ、駆動配分装置、ブレーキ等)は必ず下記に示す作用が与えられている。
A:高い圧力で押し付ける作用。
B:広い面積を持った部品が強く押し付けられる作用。
C:上記条件により摩擦熱が発生し高温となる。
上記の3要因に反応することにより「からみつき効果」=「摩擦係数向上」作用が働く。この物理的トラクション原理を応用した製品がクイックブレーキ・ドラッグワン及びマジカル・ストップとなる。
 「ブレーキ・ディスクに塗って大丈夫なのか?」と疑問に感じるのが普通である。2005年7月1日発売のミスター・バイク。発行所・モーターマガジン社。今月の新製品、Check!テスト&リポートでクイックブレーキ・ドラッグワンのテスト結果が掲載された。詳しい車種名が表記されていないがYAMAHA―FZ750Rと思われる。一番驚いていたのは制動距離の短縮。時速30キロ(2速ホールド)からの制動距離を使用前、使用後の5回実施し、その平均距離を算出していた。
使用前:4.28メートル
使用後:3.28メートル
しかもリヤーブレーキは使用せずフロントブレーキのみで比較。
更に注目すべきことは「回を重ねるほどに制動距離は確実に短縮した」と書かれていたことである。この結果が全てを表している。時速30キロという低スピードでの比較であるが、1mの短縮は実際の道路に於いては事故回避の明暗を分けることは誰でも容易に認識できるに違いないし1mの数字の大きさの意味を解かるでしょう。この効果はスピードが上がれば上がるほど、急ブレーキになればなるほど効果は高まってゆき緊急時のパニックブレーキで最大限の効果を傍受できることになる。
 以前にも有名カー雑誌でテストされている。ホリデーオート2004年10月号。新アイテム編。テスト車両はR34GT-R Vスペック。こちらは60km/hからのフルブレーキングでの制動距離比較。
使用前:17.0メートル
使用後:15.0メートル
約2mの短縮。
また他の雑誌テスト(CARトップ)ではシルビアで60km/hからのフルブレーキテスト結果。
使用前:15.0メートル
使用後:13.0メートル
同じく約2mの短縮。
ここで注目しなければいけないのは、2台の車は約2mの短縮と同じような結果が出ているが、各々の車の制動距離は製品をテストする前2mも差があるという事実である。一般路上においては、このように異なる制動距離の車が交じり合って走行しているわけであり、いざ急制動となれば制動の遅れ(反応時間の遅れも含めて)停止できない状況が生まれる。このことを運転している何人が認識して運転しているのであろうかと改めて考えさせられた。新製品の評価が大きく分かれるのはフルブレーキングした際に効果が高まることと、箱根のような山岳路を乗車定員満載で重いワンボックス車が降りてくる状況で最大に効果を発揮する。このことは少しスピードを上げて赤信号で停止しようとした際に停止線手前で停止する予定が、停止しきれずに停止線を越えてしまって停止することと似ている。普段は飛ばさない人が早めにアクセルを戻し、エンジンブレーキを最大限活用して停止する「ブレーキに頼らない運転方法」では高い効果は発揮されず低い評価点となる。私としてはソフトなブレーキとハードなブレーキの掛け方と両方を試して正しい評価をして欲しいと願うのだが現実はそうはならない。このようにケミカルは奥が深いので使用方法で評価が大きく別れるケースも出てくる。本当に効果的な製品は長期間に渡ってテストを重ねるほど、色々な道でテストを重ねるほど本当の良さが浮き彫りとなってくるのだが、締め切りの関係で短期間でのテスト結果となると性能の低い製品と大きな違いが出ないことも見受ける。
基本的なブレーキの知識として知って欲しい点は一番制動距離が高まる(摩擦係数を発揮する)使用温度が設定されている。主にパッド材質で決定され、オプションパッドなどは使用目的によって耐熱温度または使用適合領域温度が表記されている。だから少し強く数回ブレーキを掛ける行為によって制動力を十分に発揮するブレーキ温度に暖気しておくことも事故回避は有効な方法であるが自動車雑誌で紹介されることは記憶にない。
もう一度最初から考えてみよう。「塗っても大丈夫ですか?」と誰もが疑念をいだいたドラッグワン(D1)であるが、制動距離のテスト結果で判るように専門家の常識を覆す結果が得られている。これは現実の世界である。だから技術探求はとても愉快なもので、私を少年のように夢中にさせるのである。完全に解かってしまったら、おもしろくない。
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第十章 今何が解明されてきているのか?