第十一章 気持ちよく走ろう、結果が全てを物語っている。
 どんな立派な理論よりも、自分が実際に体験した結果のほうが誰しも信じられる筈。あまりに嬉しい効果が出ると、そのメーカーに対しサンクスメールを送ったりもしたくなるだろう。こうしてユーザーの生の声として送られてきたユーザーレポートはメーカーにとっても非常にありがたいものである。しかし残念なことに、ユーザーレポートに対しての市場の評価は低い。それは販売会社が宣伝用に「作り上げた」虚偽のレポートが非常に多く、それを見慣れてしまっているので、ユーザーレポートがネガティブイメージとしてとらえられる風潮にある。
アタックレーシングのホームページにも、ユーザーの方々からのレポートを抜粋して100件以上掲載していたが、折角のユーザーからのレポートが、製品販売のために利用していると思われるのが心苦しいので、製品のホームページと、ユーザーレポートのホームページを全く別の場所に分けた。またこのホームページ自体も、私の今までのオイルや添加剤についての思いを率直に書き綴ったのだが、これもある意味「宣伝じゃないか!」と言われるのが嫌なので、こうして別ページに掲載し、出来るだけ製品名を出さないようにしている。正直非常に悲しいのだが、これも多くの方に思いを伝えたいための処置である。別ページにあるアタックレーシングのユーザーレポートも是非読んでもらえれば幸いである。
まして、オイルや添加剤好きで次々と発売される新製品を実際に試してみて「広告ほどたいした効果はない」=「オイルや添加剤は効かない」という常識がインプットされた人から見たら「そんなの有り得ない」と疑っても不思議はない。だが市場には信頼できる製品もあるのだという事実は動かしがたい。
 高級オイルや高級添加剤は主にスポーツ〜レーシングユース限定で、一般市街地の使用条件とはかけ離れた存在であると思っている方が多い。しかしそれは全く逆の話で、潤滑性能が高ければ一般の人でも充分な恩恵を受けることが出来るというのが実際のところである。なぜ「潤滑性能が高ければ」と限定したかというと、一般道路での平均スピードではそれ程高回転まで回さないし、それを下回るようなスローペースもあるから、効果の低い製品では効果を感じることが出来ない為である。それはアップした分(があったとしても)の性能分を引き出して走行していないからである。だからこそ、効果の高い製品が望まれるのである。ただし、耐久性やメカニカルノイズなど一部の改善点については効果が低い製品でも解ることはある。
 地球環境が悪化している中、世界の自動車生産拠点は増加し、開発途上国での車両保有台数も大幅に増加している。日本ではトヨタとホンダの燃料電池車の形式認可が降りて、大量生産に向かって動きだした。モーターの特性として立ち上がりトルクが優れているので、力強いモーターさえ開発できれば、現行レシプロエンジンの加速をオーバーする鋭い加速力が得られる。しかも、その加速はリニアであるから、すぐに車酔いしてしまう人や音に敏感な人にも優しい筈だ。
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11−1:限界点は必ず存在する そこを勘違いしてはいけない

 どんなに優れた高性能ケミカルでも、トラブルの100%を完璧に抑止することはできない。このことは広告とか商品説明では決して語られることはない。なぜなら少しでもこの点に触れて語ると、その製品があたかも力が弱い(性能が悪い)と錯覚をされてしまうからである。だから、通常は製品の説明書の中に「整備不良や故障を完治させる目的では使用しないで下さい。」などという一文が入ることとなる。この文章から受けとる意味合いは、受け取る側の解釈で大きく分かれる。

まず添加剤を使用する大きなきっかけは下記理由と分析できる。
1:何らかの不具合(オートマの滑り、ショックなど)の兆候を感じたため何とかしたい。
2:故障に近い状況(MTギヤシフトの際に異音が出る)改善目的で使用する。
3:何らかの不満点(トルクが無い、パワーが無い)を改善する目的で使用する。
4:気にいった車なので耐久性を延ばす目的で使用する。
5:燃費向上、オイルライフサイクル延長など、経済的メリットを求めて使用する。
6:他車よりも速く気持ちよい走りを求めて使用を開始する。
7:レースやサーキット走行などに於いて性能向上、保護目的(耐久性向上も含む)で使用する。
といった感じに、動機には様々なものがある。(先ほどの但し書きには1,2,3が該当する項目である。)
古い年式の車や走行距離が10万km以上の車などは、1項及び2項のように不具合や故障を抱えている場合が多い。
●不具合の改善率はケミカルの性能が低ければ低くなる。メーカーの回答も「直せない」となる。
●逆にケミカルの性能が高ければ改善率は高くなる。だがメーカーの回答は同様に「直せない」と同じになる。
前者は当然の回答だが、後者でも回答は同じ。その理由は、「100%直せなければ、軽々しく直せると言えない」というのが、その後に起り得るクレームを考えた場合のメーカーのスタンスである。
前記1項2項の不具合をケミカルサプライで100%改善できる製品はこの世に存在しない。逆に考えると現代において高い確率で改善効果が得られるのであるならば凄いことだと認識して欲しい。だが僅かでも直せないケースがある以上、「直りますか?」と問いに対しては表記的には「直せない」というのが正しい答えであって、「試してみないと判らない」というのが確率に対しての答えとなってしまう。この答えでは「性能の低い」製品の回答と何等変わらない。だから、複数の製品を取り扱っている販売店で且つ、ケミカルに対しての理解度が高ければ、「△△△を使っても期待できないよ」「○○○でだめならあきらめるしかないよ」という回答をしていることだろう。
エンジン内部のシリンダー壁面を見る方法としてはファイバースコープを活用する方法もあり、私もニッサン大森ファクトリー、ニスモ在籍の頃に、何度かファイバースコープを使用して診断する経験をしている。一言で言えば「大きく破損している状態なら解かり易いが少しの不具合は解かりにくい」また「全てが解かるわけではなく一部に限定される」という弱点を持つ。一番の欠点は器具は高価格であり普通のショップでは、まず購入する意味が無い。
 ファイバースコープにより確認できる場所はピストン頭部、シリンダー壁面、バルブ頭部などとなる。一番肝心なメタル当たり具合や損傷具合、ピストンリングの損傷具合やカーボンによる固着状況は見ることが出来ない。
メカニズムが充分に理解できる人であれば「添加剤を使用して、どこまでの症状が改善されるか?」かなどと断言することができるわけがない。同様にATでもMTでも部品の損傷や磨耗状況はOHしない限り確認できない。
 結論を述べれば上記1,2項目に該当する場合は、近い将来「オーバーホールを行うかリビルト品と載せ替えるか廃車にするか新車に乗り換える」決断を迫られることは明白である。「性能の低い」製品を使用して低確率の改善に賭けるよりも、価格的に高くても高確率の改善に賭ける方が、コストメリットは大きいといえる。(外車のAT修理代は50〜100万円、国産車のMTでも交換ともなれば20万円前後はする。対して添加剤なら最高価格のものでも約2万円前後である。)

 人間の老化のように、自動車も走行距離が増大するほど劣化損傷磨耗が進行する。人間が病気にならないように予防するのと同様「メカニズムにも効果的な処置」を実施すべきである。実際問題となると巷に溢れている製品の中からベストな製品も探し出さすことは一般の人にとって至難の業であり、予算も限りがあるのでどうしても求めやすい価格帯の製品にならざるをえない。人間も健康な時には予防対策を忘れがちとなり実際に病気となって「もっと注意すれば良かった」と後悔するように、自動車でもトラブルが発生したり異常の兆候を察知して慌てて添加剤を求めてくる傾向を示す。だから切実な問題として「直りますか?」という質問になるのである。どんなに効果的な製品も本当は治療薬として添加するのではなく、予防薬として使用することが理想的使用方法となる。悪くなってから使用し、完全に直ったとしても、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のたとえ話と同じで、また悪くなるまで使用しなければ、また不具合が発生する。

 不具合の改善率にばらつきが出てくる理由、それはメカニズムは構造や使用されている材質や機能が大きく異なるからである。この違いにより耐用年数(走行距離)は大きく左右される。
走行距離に比例して磨耗が進行するのは 1:タイヤ 2:ブレーキ 3:AT の三箇所となる。
走行条件の違いによって変化するが、タイヤは3万〜5万km。ブレーキパッドはフロント側が2〜5万km、リヤ側はフロント側の約2倍。ATは約6〜15万kmで寿命が尽きる。上記の中で1:タイヤ2:ブレーキは磨耗進行状況が簡単に確認できる。それらと異なり3:ATの内部の磨耗損傷具合は症状から推定することが判定基準となる。AT内部の湿式多板クラッチの磨耗損傷具合は様々であり、損傷が甚大な場合、表面の摩擦材がバラバラに砕けて剥離してしまう。従来の常識では摩擦材の磨耗が進行して磨耗限度に到達すれば、AT滑りや変速ショックが耐え難いものとなり、寿命が尽きたと判定する。私も同じ考え方をしていた。その常識が根底から崩されたのは、ある添加剤においてAT滑りが添加後数分で回復して、普通に使用できてしまう確率高いことを確認したからである。 
トラクション作用がある添加剤の場合、磨耗が進行したAT摩擦材の表面に吸着した成分は、マジックテープのようにからみつき滑り抑制作用を発揮する。ATに添加するとATF中に分散(交じり合う)した成分は循環しながら絶えず摩擦材表面に運ばれて作用するので短時間で成分が消耗することはない。厳密に言えば作用することにより多少は消耗することは原理原則であり、消耗した同量を追加補充することが理想的手段となる。
 
 MTのギヤ入りの改善率はAT滑りの改善率に比べると遥かに高い。ギヤ入りが悪い状態を通常は「シンクロが死んだ」と表現する。つまり同調作用が機能しなくてギヤが入りずらかったり、ギヤ鳴りしている状態を表現する。通常はOHして破損や損傷した部品を交換しないと完全には回復しないと思われている。私もニッサン大森ファクトリーでレース用オプションギヤ組み換え作業を何百機と経験していたが、当時はたかが添加剤でギヤ入りが大きく変化することなど夢にも考えられなかった。MTの難しさは部品単品で1個1個が正常でも、組み込んで実車に搭載してサーキット走行を開始するとドライバーから「2速の入りが渋い」とか「3速の入りが悪い」とか思わぬ指摘を受けることになる。対策としてモーターでミッションを回転させ(実際のエンジン回転数から比べたら格段に低い回転数だが)OH後のギヤ入り具合をチェックし、入りの悪いMTは再度OHを実施した。悪いMTを分解して部品を確認しても、ほとんど新品に交換しているので、固有の部品が悪いわけではないので、どんなに目視で確認しても不具合はみつからない。ミッションの難しさはここにあって、目視で見ても良否の判断がつかないことにある。だから別の部品に交換して組み込むと嘘のようにスムーズに入ったりする。ギヤの構造は複雑な形状をしているので、生産技術が進歩しても数ミクロンの生産誤差は避けられない。そんな部品を何個も組み立てるので、1個で問題とならない誤差も5個が同じ方向(大きいとか小さいとか)に狂っていれば結果的にギヤ入り具合に反映されてしまうと推察できる。その当時は誰もオイルに対して理解していなかったので、一つの決められたギヤオイルしか使用していなかった。潤滑に無頓着であったことが悔やまれる。
◎MTギヤ入り具合は下記条件によって大きく左右される。
A:1速ギヤとリバースギヤ
A−1クラッチディスク、カバー不良などによるクラッチ切れ不良。
A−2エンジンアイドリング回転数が設定回転数より高い。
A−3エンジンアイドリング回転数がバラついていて安定していない。
A−4使用しているギヤオイルの粘度が高い。
A−5冬季寒冷時など気温で大きく変化する。
B:4速ギヤ、5速ギヤ
B−1使用しているギヤオイルの粘度が低い。
B−2エンジンマウンティング、ミッションマウンティングの亀裂やへたり。
B−3使用しているギヤオイルの性能が悪い、劣化している。
C:シフトダウン時の入り具合
C−1ドライバーの運転技術
C−2使用しているオイルの性能
C−3エンジンマウンティング、ミッションマウンティングの亀裂やへたり。

オイル粘度がギヤ入り具合と大きく関わっていることは多くの人が経験している。特に粘度が固いと入りが悪化する。特に冬季の朝は気温が下がっているので症状は更に悪化する。こんなミッションも、走行を続けてオイルが温まってくると別物のミッションのように気持ち良く入るようになる。この対策としては柔らかい粘度に変更する方法が一番効果的な方法と言える。スポーツ走行を主体とした人が、柔らかい粘度を選択すると冷間時のギヤ入りは良好となるが、激しく攻め込むほどに今度は4速、5速ギヤ入りが悪化する。この状態はオイル油膜切れで充分な潤滑ができていないために発生する。ここまで説明してきたようにミッションはオイル粘度で入りが大きく変わってくる。これはシンクロが死んだ状態のミッションでも、オイル性能が高ければ改善される可能性が高いことを示唆している。
言葉だけでシンクロ同調作用を伝えることは非常に難しいことだが、できる限り説明してゆこう。シンクロは一種のブレーキ作用と言える。メインシャフトの軸に1速ギヤ、2速ギヤ、3速ギヤ、4速ギヤ、5速ギヤがはめ込まれ、軸とギヤの間にはローラーベアリングが使われ、(AE86の3速ギヤのようにベアリングが無いミッションもある)ギヤとシャフトはスムーズに回転するように設計されている。またギヤの直径は高速用ギヤは小さく、低速用ギヤになるほど大きくなり、遠心力が強く働く。そのため1速ギヤのシンクロはダブルシンクロまたはサイズを大きくして対処している。シンクロが強く作用するためには大きく二つの要因が関係してくる。
◎その1:シャフトとギヤの関係。
メインシャフトが高速度で回転しても、オイル潤滑によりベアリングが機能し、ギヤはメインシャフトの回転数よりも低回転で回る。反対にオイル潤滑が悪化したり粘度が固ければ、ベアリング機能が低下し、シャフトとギヤは一体化し、同じ回転数で共回り状態となる。この状態でシンクロがギヤにブレーキを掛けて同調させようとしても同調作用は働きが弱くなりギヤ入りは悪化する。
◎その2:シンクロとオイルとの関係。
シンクロが死んだ状態とは「ギヤ回転数を落とせない(同調できない)」状態と言える。その1で解説したように、ギヤとシャフトが一体化しているとギヤの回転をどんなに落とそうと、シンクロが強く押し付けられて頑張っても滑ってしまって同調はできない。同調させるためには「シャフトとギヤを切り離すための、高度な潤滑」が必要となる。粘度が固い場合も、このシャフトとギヤの一体化が強くなる。
潤滑とトラクション効果を両立した添加剤の場合、「ギヤの切り離し効果」と同時にシンクロの表面で「ブレーキ作用(シンクロ作用)効果」を発揮する。このダブル作用が働くために「シンクロが死んだ状態」でも、それまでのギヤ入りの悪かったのが嘘のように改善されてしまう。
つまり「シンクロが停めようとする力>シャフトとギヤの一体化の力」となる。
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11−2:オイルや添加剤の結果は使ってみないと解からない

 自動車メーカーの指定オイル交換サイクルは「1年間または1万km」などと表記されている。この、期間と走行距離によって表記することは、オイルの劣化具合が判断できない人にとっては、一番理解しやすい方法と言える。このメーカー指定通りの方法でもメーカー保障期間内には問題は起きない。(起きてもメーカーが保障する)しかし、この方法より良い結果を得たい(走行性能、耐久性、その他)という目的で、市販オイルに変更した場合、その表記・広告は多種多様である。だが、実際には車両と使用オイルだけで判断することは出来ない。それはオイルユーザーの使用状況・使用風土などによって変化してしまうからである。
 だが販売店におけるお客様からの質問で「添加剤やオイルを使用したら何km大丈夫ですか?」という内容のものが圧倒的に多い。購入前に結果を知りたいと思う気持ちは充分理解でできるが、使用して始めて出てくるものが結果なので、販売店としては、過去の実績(同じ車種)や経験から「この車種であれば、10,000kmが目安ですね」などと答える。しかし、お客様の多くは「目安」という言葉がいつの間にか「10,000kmは大丈夫!」に変化して受け取ってしまう。「10,000kmが目安」の意味を別の言葉に置き換えると「8,000〜12,000km」ともなれば「5,000〜15,000km」になるかもしれない。実にアバウトである。だから正確には「10,000kmが目安ですが、用途によってはそれ以前の場合もありますので、お客様が様子をみながらご判断下さい」になる。後は、お客様からの情報(その他の不確定要素)を元に更に高精度な「予測」をするしかないのである。このように実際にお客様と話をしてでも判断に迷うのがオイルの寿命だが、前出の市販オイルの表記・広告の中には、「○万kmはオイル交換不要!」と言い切る強者もある。凄いことだ。あくまで推定であるが、輸入商社(メーカーではない)が輸入した製品の効能を書かれた通りに「翻訳」すると、こうなるのだろう。確かに一度エンジンをかけて走り出せば何百キロも巡航のまま走れる大陸においては実現する(のかも?)しれない。

○比較項目の際、考慮に入れて欲しいこと

A:オイル粘度。
0W−20や5W−20などという柔らかい粘度になればなるほど油膜は薄くなるので、性能劣化は急激にやってくる。つまり余裕度が少ない。これはマルチグレードオイルの低温特性をつかさどる粘度指数向上剤が劣化するためと推定される。また基本的な話として、粘度が固くなるほど潤滑性能が多少低下しても粘度からくる油膜の厚みが保護機能として働くため余裕度は必然的に高くなる。

B:改善効果のある製品の継続使用。
 始めての使用の場合、有効成分が内部表面の改修のために急速に使われる。だが2回目以降になれば、改修のための消耗は抑制され、且つ、「良き連鎖サイクル」に入り込むので、燃焼室からのスラッジ・ブローバイの流出も減り、オイルライフサイクルも自然と延びてゆく。だから、初めて使用する場合と、継続使用している場合でライフに差が出るのは当然のことであり、初回からいきなり継続使用と同等のライフとして予測するのは危険を伴う。

C:ターボチャジャー付や直噴車。
マフラーを指で触って、真っ黒なススが沢山着いている車ほど、オイルの黒化は早くなる。だが、少しくらい黒くなっても潤滑レベルは、それほど劣化していない。ここに落とし穴があって、長期間に渡ってオイル交換しないと気がついたときにはヘドロのようにドロドロ状態となってしまう。この状態でヘッドカバーを開けると、ヘッド内部はスラッジで汚れが溜まっている。カムシャフトに給油する潤滑用穴、HLA(オイルタペット)の給油穴、ターボチャジャーの給油穴は小さいので、オイルがヘドロ化すると詰まってしまい故障の引き金となる。「安いオイルをこまめに交換する」方法論はここから来ている。
それではターボ車両や直噴エンジン搭載車の場合、なぜこのような状況になってしまうかを考えてみよう。ECUは各種センサーから情報を得て噴射量を決定し、インジェクターにより燃料を噴射している。しかしブースト圧力は瞬時に変化を繰り返しているので、演算結果⇒噴射のタイムラグが発生し、結果として完全燃焼とは程遠い状態になる。また燃料が薄いと燃焼温度が急激に上昇するため、安全マージンとして少し濃い目の噴射を行い、リスクヘッジをしている。直噴エンジンも吸気管内に噴射する方式に比べ、直接に燃焼室内に噴射するので、その理論値通りに空気(酸素)と燃料が充分に混合されず、点火⇒爆発⇒燃焼が行われる可能性が高い。排気管内が真っ黒にススけていることがこれを証明している。同じようにコンピューターチューンを実施している車も、出力アップに伴う危険性を回避する為に、ノーマルよりも濃い目のセッティングをするため、マフラーが真っ黒な車が多い。またコンピューターチューンを実施する人は、それだけの改造に留まらず、他の部分にも(完全燃焼にとってはマイナス面の)改造を施すことが多くなる。従ってオイルライフサイクルは通常ノーマル車両よりも早くなって当然である。

D:オイル消費が多い車。
オイル消費に関しては、2000〜3000km走行で交換している場合、多少消費されていても気がつく前に交換してしまっている。しかし他社ブランドに変更し1万km走行した場合、単純にオイル消費は5倍以上となる。すると途端に「オイル消費が多いオイル」と評価してしまうことになる。オイル消費は、エンジンの構造や走行方法で大きく変化するので、どのくらいの消費からを異常と判断するのかは難しいが(特に鍛造ピストン&高回転エンジンで、低回転走行を続ければ消費は早くなる)1万km走行で1リットル以上消費するなら異常と判断すべきであるが異常ラインの線引きは難しい。。

E:添加剤はベースオイルでライフサイクルが決定される。
添加剤の「添加後」を考えた場合、総オイル量の約90%がオイルで10%が添加剤となる。つまり、全体の9割を占めるオイルが基本のライフを決定してしまう。添加剤が行うのはそのオイルの性能(ライフを含む)を拡張するので、1000kmしか持たないオイルに添加して最大200%ライフ伸びても結果は2000kmとなり、プラス1000kmしか増加しない。しかし同じ効果の添加剤で5000km持つオイルの場合は10000kmとなり、この場合プラス5000km増加する。安価な添加剤ならともかく、高級添加剤を試す場合は、比較的ライフ性能の高いオイルと組み合わすことがコストパフォーマンスを高める上で重要となってくる。
「オイルはこまめに交換すべきだと」と謳っているメーカーのオイルをテストすると、「ライフ」が短いオイルが多い。当然ながら「長期間使用したら性能が極端に劣化」するので「こまめに交換」を推奨している。
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11−3:何百台の結果を収集し積み重ね分析すると見えてくること

この項目のみ、レポートを具体的に説明する関係上、製品名を記述しています。ご了承下さい。

 私が添加剤をリリースして15年間が経過した。同時に発売当初から保存している「お客様レポート」も膨大なものとなってきたが、今も大事に保管している。自動車レースやオリンピックでも結果が重要視されるように、製品の性能も市場に出て不特定多数のお客様が実際に使用してみて、その結果を詳細に報告してきた結果が全てを証明していると常に思っている。もちろん貴重な意見や細かな要望も数多く見受けるが、ほとんどは「ビックリした」「驚いた」「凄い」「信じられない」「感激した」といった内容である。私の経験が世の車好きの役立っている証明でもあり、何よりも嬉しい限りである。ただし、最初に断っておかなければならないことは、前項でも書いたが、どうしても{宣伝広告的}として捉えられてしまう点である。正直なところを伝えたくとも、これが難しいところである。
レポートを読む場合は表現に注意を払ってみてほしい。最近は個人やメーカーのHPでもレポート(使用した結果)を多く見る機会が増えたが、表現は微妙なニュアンスを多く含んでいるので、そこの違いを判断してほしい。例えば「何となく・・・」「効いたように思う」「音が変わったように感じる」「多少良くなったように思われる」とか表現される場合も「効いた」ことにはなります。しかし私に送られてくるレポートの多くはそれらとは全く違うことがわかる筈。また、その車のオーナーでなければ解らない微妙な表現も多く見受ける。走行距離が増えるに従い車が進化(変化)してゆくことが判れば、自然とレポートも多くなり、また内容も多岐にわたる筈。逆に効果の薄い製品のレポートは当然ながら短文になってしまいがち。「音が静かになった」「レスポンスが良くなった」など。

最初におもしろい実例をひとつご紹介しよう。2005年式ミニ・クーパーS(新型:BMW社製)を2004年10月に新車購入したお客様が詳細なレポートを初回製品開始から7500kmまで詳しく経過報告してきた。製品はX1&X1FS,G9FS,GPX1極,疾風―極、雅、D1,D2と全ての製品を使用されている。詳細な報告は後で見ていただくとして(文章は何も変えずに記載)

◎H17年3月到着 G9FSガソリン添加剤の報告 
最初の給油でG9FS(25cc)を50Lへ添加。特に変化は見られず。

2回目の給油でG9FS(25cc)を追加で給油した25Lへ添加。いきなり低速トルクがUP。さらに減速時に、ボブボブと詰まった様な嫌な音がしていたのが無くなった。

帰宅した際に飼い犬の鎖が長い為、駐車場へ顔を出す時がある。その場合、すぐにエンジンを切ってやらないと排気ガスを嗅いでクシャミしていたのがピタリと無くなった。
排気ガスが綺麗になった証拠だと思う。

特にもう1台の愛車のバイクでは、触媒付きモデルにも関わらずクシャミがひどかったが、G9FSを添加後は、こちらでもまったくクシャミをしなくなった。

効果が良く分かったので、V7FSをファンヒーターの灯油へ添加した所、匂いがまったくしなくなった。こちらは10Lに30ccほど使用。
年数が経っているヒーターのせいか、20ccでは効果が薄かったので(匂いがするようになった)30ccで使用しています。

このお客様のレポートから何を感じ、何を学んでくれただろうか?最初から「これは自社製品の広告宣伝をしているだけ」と感じた猜疑心の強い方は、私のこのHPに記載する全ての研究成果を読んでも何の意味も持たないだろう。

麻薬探査犬や災害救助犬、警察犬の活躍で判るように、人間の嗅覚の1万〜10万倍とずば抜けて優れている(全動物の中で最高)ことは多くの人が知っている。ある意味、排気ガス測定器よりはるかに敏感なので、機械ではなく犬の嗅覚が活躍しているわけである。だから、どんな研究論文や実験よりも、このレポートの「犬のクシャミがピタリと停まった」という結果が大きな意味を持つことになると私は考える。化学が進んでゆけば麻薬探査犬も警察犬も、やがてロボットにとって代わる時代がくるかもしれないが、動物である犬が活躍することにロマンを感じる人は私だけではないと思う。

今まで解説してきた内容を理解している人は、参考になったポイントを見つけたと思う。それはG9FSとV7FSの添加量と使用例である。まず第一のポイントは、どこかに急激に効果を強く感じる「見えない添加量ライン」が必ず存在することである。第二のポイントは、時間的経過で効果が高まることである。この二つのポイントは弊社製品に限らず、全てのオイル、燃料。その他の添加剤に共通して言える重要ポイントなのである。ただし、元々の力(性能)の弱い製品は少しくらい増やしても何も変わらなくて当たり前であり、製品の力(性能)が高ければ高いほど、少しの添加率変更が敏感に結果に影響を与えることになる。また速効性に優れる製品は花火のようにパッと効いてアッという間に効かなくなる。
G9FSの25ccでは効くラインを下回っていたのが(それでも時間的経過で燃料に影響を与えていた)追加によって「体感添加量ライン」を超えたことと、時間的経過と共に更に燃料の細分化が促進されたためと推察できる。
お客様からの問い合わせで「効果がそれほど分からないのだけれども」と言ってくる人と色々と話をしてゆくと下記のような条件に当てはまる人がほとんどである。
A:始めて当社製品を購入された人。
B:オイル総量を認識または把握していない人。
C:解っていても推奨添加率ではなく、高価なので添加量を勝手に少なくしてしまう場合。
D:添加して、あまり走行していないのに高い効果を望んでいる場合。
E:平均的な走り方、または、おとなしい運転の人でアクセルをあまり踏まない人。
F:新車または程度の良い車に使用され走行が少ない場合。
G:排気量の大きな余裕のある車で時間経過が短い場合。

ある意味、どんな実験結果よりも「その人が何十年(何十万km)と実際に使用した中での結果」が全てだというのが私の結論である。だからレポートがダイヤモンドや純金のように貴重な価値を持っている。

レポートを見るには、いくつかのポイントがある。全てが正しいと思うか思わないかは、見るポイントさえ分かれば見分けることができる。オイル添加剤リリース当初は、新規のお客様にレポートを差し出しても見向きをしない人も多数いた。そんな人ほど「成分は何なのですか?」「どうしてLSDが滑らないのですか?」「ATFに添加しても大丈夫ですか?」と聞いてくる。それこそ、宣伝文句でどうにでも言える内容なのに・・・と感じてしまう。

◎レポートの上手な見方
A:文章のうまい下手はあるが、何が変化したかを読み取る。
B:感覚的な部分は人によって表現が異なるが何枚か読んでゆくと意味が分かってくる。
C:結果は結果として(データーも)大きな間違いは少ない。
D:自分で推定して書いてきている内容については間違いも見受ける。
E:添加直後の結果なのか、何km走行後(または何ヶ月後)の結果なのか見ること。
F:添加場所、添加率、使用製品グレードと結果を見比べること。必ずしも同じ車種で同じ製品を使用しても結果は同じではない。
G:車の使用条件を把握すること。走行距離、年式、車種、地域、走り方など。
H:理想的には同一車種の結果を知りたいが、同じような排気量や系統の車であれば大きな違いは出ないが、個体差や劣化具合の違いで結果が異なる場合もある。重要なのは、どこにどれだけ何を使用したかである。弊社製品の場合は4グレードの性能が用意されているので、必然的に購入金額=結果という図式が成立する。
I:自分の得た成果が凄く良かった場合は必死に人に伝えようとして少し強調した書き方となる場合を多く見受ける。
J:1台ではなく少なくとも10台の結果を読んで理解すれば製品の特徴や性能がハッキリと浮き彫りとなってくる。広告と違い結果が真実を伝えていると思う。

 最終的には宣伝や広告ではなく結果が全てであり、これから読んでいただくレポートが私の解説を立証し確かなものとして支えてくれていると信じている。中には「俺は書くのが苦手だから悪いね」とお礼の言葉と同時に付け加える人も多数存在する。労力を惜しまず詳細なレポートを送付くださった多くの購入者の皆様にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。また、多くの自動車愛好家の皆様のお役に少しでも役立つことが出来れば、これ以上の喜びはありません。
ユーザーレポートの紹介
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第十二章  燃費に関する複雑な要因を掘り下げて考察する